「安倍のつくる未来はいらない!人々」

(昨年春から様々な個人・団体が集まり、改憲や戦争政策に反対する新宿デモや官邸前抗議を続けています。)

5/10デモで読み上げた沖縄辺野古・山本さんからのメッセージ

沖縄・名護から新宿アルタ前に集まられた皆様へ

                        山本英夫(フォトグラファー)

 

  新宿アルタ前に集まられた皆さん。皆さんは、広告と騒音と雑踏の中におられるのでしょう。こうした「にぎわい」をみなさんは、どう考えているのでしょうか? 私は、こうした「にぎわい」こそが、皆さんの《生きている》感度を削いでいるのではないかと疑っています。この「にぎわい」が、武力・軍事力を欲しているのではないかとすら、想像しています。

  にもかかわらず、皆さんは、この場に立ち、「安倍政権はダメだと言おう!」と集まられています。新宿アルタ前は、時の権力に楔を打ち込む為のベストポジションです。

 

  本題に入ります。安倍政権は、昨年の3月15日にTPPの枠組み交渉に入ることを閣議決定し、3月22日、防衛省沖縄県知事に辺野古沖の埋めたて申請を強行しました。沖縄は、サトウキビや肉牛の生産地であり、TPPの行方は死活的な影響をもたらします。そして去る12月25日、安倍・仲井眞会談で、県知事の埋立「承認」を確約させ、翌26日、安倍晋三首相は靖国神社に参拝したのです。ここに彼らの本音が隠されています。軍神を参拝し、再び対中戦争も辞さずの本音です。この道はいつか来た道であり、人々の命を鴻毛(こうもう)の如く軽んじる人間観なしにはありえません。

  さて1月19日の名護市長選は、「海にも陸にも基地を造らせない」と一貫して主張してきた稲嶺進候補が4155票差をつけて、勝利しました。しかし安倍政権は地元の民意を完全に無視し、1月21日から埋めたて工事に必要な各種準備作業に入り、入札等を進めてきました。4月12日には、工事に必要な市長権限を5月12日までに承諾せよ、さもなくば、「無回答」として粛々と工事を進めると強引です。

 

  ここで皆さんに考えていただきたいことがあります。日本政府、安倍政権は、辺野古への基地建設に何故斯くも拘(こだわ)るのかを。辺野古普天間基地の代替基地ではありません。《滑走路+大型の埠頭+弾薬の積載場》を兼ね備え、周辺の演習場にもぐっと近くなるのです。米軍への大サービスであるばかりか、自衛隊が共同使用し、ストロングな軍隊、強襲作戦能力を持った「国防軍」(侵略軍と読め)に強化したいがための満額税金を使った投資です。

  他方、2004年のボーリング調査に向けた漁港内作業ヤード設置を阻止した辺野古座り込みから10年目の4月19日に彼等は与那国島陸上自衛隊沿岸監視隊(レーダ-サイト)の着工式を強行したのです。この日、住民有志は果敢に抗議行動を展開し、小野寺防衛大臣の会場入りを30分止めたのです。島民の皆さんは、必死です。このままレーダーサイトが出来あがり、琉球諸島陸上自衛隊の拠点が造られていけば、島民が戦争状態に入れりを知るのは、攻撃された後であり、空や海の避難路が遮断された後のことです。

  話しを戻します。辺野古の埋めたて工事に向けたボーリング調査が6月にも始まろうとしています。沖縄の人々は、これを何としても止めたい。名護市長も市長権限を最大限発揮しています。稲嶺市長は5月15日から5月23日まで訪米します。米国の要人や国会議員辺野古基地建設反対を表明している有識者にも面談し訴えます。

  

  安倍政権は、沖縄を、あと100年も200年も基地の島に強化し、ガムシャラに日本を「戦争国家」に取り戻そうとしています。

  冷静に考えましょう。戦争国家とは殺戮を是とし、軍事力で経済力の維持向上を図るばかりか、「善悪の価値判断」を抹殺するものです。歴史認識を敢えて無視する彼等は、再び何をしでかすのかわかりません。

  ここに集まられた皆さん!そして未だ出会えていない皆さんにも呼びかけます。命は誰の命も尊いのです。誰の命も、等しい価値をもっています。誰かの贅沢の為に殺していいわけがありません。殺されて良いわけがないのです。

  私達は人が生きている、生物が生きているという感度を取り戻しましょう。皆さんは、こんな雑踏にめげないでください。共にアジアの平和の為に頑張りましょう。

    

  私は沖縄島に住みながら、与那国島石垣島宮古島にも通っています。琉球諸島を要塞化させないために微力ながら全力を尽くします。スライド上映会、平和ガイドなど、皆様にもお役に立てると思います。お会いできることを楽しみにしています。

             (2014年5月10日 梅雨空の名護・辺野古から)